人生で何度も読んでほしい本「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」
今週のお題「読書の秋」
※後半少しだけネタバレしてます。読むにあたって影響はそんなにない程度だと思いますが…
私は小学生から読書を好むようになり20年くらい、ほぼなにかの本を読んでいます。
そんな私が人生で何度も読み返している本を紹介します。
リリー・フランキー『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』
えぇ、読書好きとは思えない、べた中のベタ(笑)
これを何度も読んでいるのは、面白いから、というよりも、
歳を重ねて変わっていく自分を認識できるから、だと思います。
著者はライター、俳優、イラストレイター、演出家など様々な肩書を持つリリー・フランキーさん。
福岡県小倉で生まれ育った、リリーさんの半生を描いたエッセイ本です。
この本で本屋大賞を受賞し、200万部越えのベストセラーとなりました。
ドラマ化(単発と連ドラで2回)、映画化、舞台化もされた有名作です。
発売された2005年、私は中学生でした。
本屋大賞とか直木賞とか話題の作品はとりあえず買うというスタンスの母が、
例にもれずこの本も買っていて「号泣した。」というので、
私も読むことに。
私の感想は、くそやろうかよ!!
目的もなく東京でふらふらし、オカンに迷惑をかけ、
女にもだらしない、クソジジイだな!と(笑)
「お母さんどこで泣いたの?わけわかんない!」といったこと覚えてます。
当時「ココリコミラクルタイプ」っていうバラエティにリリーさんもレギュラー出演されてたんですけど、
この本読むまではダンディなおっさんだな~かっこいいな~と思ってたんですが、
読んでからは嫌悪感しかありませんでした(笑)
2度目に読んだのは、高校を卒業し進学して独り暮らしをはじめた18歳くらいのとき。
田舎から都会へ一人ででてきてさみしさもありましたが、
毎日楽しくて遊んでばっかりだった頃に。
なんとなく、気が向いたからか読む本がなかったから久しぶりに読んでみた。
泣いた(笑)
一人暮らしを初めて、親のやさしさ、ありがたみを知って、オカンの想いを考えて泣きました。
それでも都会の楽しさを優先してなかなか地元に帰らなくなる、リリーさんの気持ちもよくわかる…!
ちょくちょく地元帰ろう…!って泣きながら思いました
3度目に読んだのは、社会人1年目のとき。
もうその時は、号泣。
この2年ほど前に私の父親が自殺した。
オカンが病院で「死ねばええ」というシーンで、
こんなにも強い人が生きたいのに、死にたいという。
生きたくても生きられない、死にたいくらい辛いけど立ち向かう人がいるのに、
うちの父親は、健康体で自ら命を絶ったのか、という、
立ち向かう人たちへのわが父の冒涜と、
純粋になんで死んでしまったのか、なにがあったのか、なんで言ってくれなかったのか、
という私自身の後悔がぐっちゃぐちゃになって、もう字が読めないくらい号泣。
父の自殺の本当の理由は誰にもわからない。
遺書はなく、練炭自殺した車の中にメモが一枚。
「子供たち、お母さんをよろしく。お母さん、ごめんね。」
それだけだった。
会社でも普通だったし、家でも普通だったという。
お母さんもこれっていう理由はわからない、と言っていた。
ちなみに、この本に「時々」でてくるオトンとうちの父はそっくりだ。
酒を飲んで帰ってこない、帰ってきたかと思ったらわけのわからないお土産をもってくる、基本的にわたしのやることは否定しない、とにかく発想も行動も突飛。
そんなヤバいやつなのに、奥さんから見放されないところもどこか憎めないところも本当にそっくりだと思う。
父のことだけじゃなく、
頭じゃこうすべきってわかっていてもなんとなく楽な方に流されて、
終わってから大切だったって気づくリリーさんと自分もそっくりで、
自分がほとほと嫌になったし、お母さんに本当にごめんねって言いたくなる。
初めての感想は「くそやろう」だったけど、
大人になって読んだ感想は「本当にごめんなさい」だった。
今後、さらに歳を重ね、
結婚したり、出世したり、自分の子供ができたりしたとき、
この本を読んだ私の感想はどうなるのだろう?
そういう意味でいろんな人に何度も読んでほしい本だな、と思ってます。